研究活動

常設研究会 ― 社会参加とネットワークに関する研究会 第10回報告 ―

○ 開催日時
2023年5月31日(水)11:00~15:30
○ 開催会場
日本女子大学
○ 参 加 者
4名(委員3名、事務局1名)

テーマ・概要

 第10回研究会では、2023年3月に実施した「人々のつながりの実態把握に関するアンケート調査」(インターネットモニター調査)について、ローデータのクリーニングの方法について検討したほか、集計方法(ウエイトバック集計)についても検討した。さらには、集計結果からどのような内容が読み取れるのかについて討議を行った。

 本アンケート調査は、全国の25歳~54歳を対象として実施し、目標有効回収数を10,000サンプルとした。10,000サンプルについては、事前に、日本の人口構成比に応じて「地域-性別-年齢」の3つの条件で割付を行った。その結果、割付の条件を満たして回収することができ、余剰分もあわせて11,008サンプルを回収することができた。なお、11,008サンプルを日本の人口構成比に沿った形で集計する際には、ウエイトバックの処理を行う必要がある。このような経緯から、今回の研究会ではウエイトバック値の算出方法の確認や、ウエイトバック処理を行ったデータとウエイトバック処理を行っていないデータで集計結果にどのような差が生じているのかについて確認を行った。さらには、アンケート調査では常々起こりうることではあるが、回答ミスだと考えられる回答についてどのような処理(クリーニング)を施すのかについても議論を行い、方針を決定した。今回のアンケート調査はインターネットモニター調査であり、インターネット上で回答が制御されていたため回答ミスは比較的少なかったが、それでも例えば「子どもの数(義理の子どもを除く)」について「30名」と回答しているケースがあるなど、何らかの処理が必要な回答も見られたため、それらの回答の処理の方法について検討を行った。

 このように研究会の前半では統計的な点について検討を行ったが、研究会の後半では、集計結果の内容について議論を行った。集計結果からは、若年層ほど孤立感・孤独感が強い傾向があることや、女性よりも男性のほうが、人付き合いが少なく孤立しやすい傾向があることが分かった。また、オンラインを用いた人付き合いについては、若年層ほどオンラインを用いる頻度は高いものの、他者との付き合いを深めるような双方向型のコミュニケーションをオンラインで行う様子は見られず、オンラインが人々のつながりを豊かにすることにあまり寄与していない可能性が示唆された。これらの傾向以外にも、今回の調査結果からは、人々のつながりの実態について多くの興味深い傾向が見られた。これらの結果について、これから各委員が分析を行い、原稿としてまとめ、2023年度中に冊子として刊行する見込みである。

 次回の研究会は、8月30日(水)13時~16時(場所は主婦会館5階会議室)にて対面で実施する予定。