研究活動

常設研究会 ― 社会参加とネットワークに関する研究会 第11回報告 ―

○ 開催日時
2023年8月30日(水) 13:00~16:15
○ 開催会場
主婦会館プラザエフ5階会議室
○ 参 加 者
4名 (委員3名、事務局1名)

テーマ・概要

 第11回研究会では、2023年3月に実施した「人々のつながりの実態把握に関するアンケート調査」(インターネットモニター調査)を用いて、各委員が分析した結果を報告し、それらの分析結果からどのような示唆が得られるのかについて討議を行った。また、アンケート調査の分析結果については、2023年度中に『総研レポート』として刊行する予定であり、『総研レポート』に収録する内容や刊行までのスケジュールについても討議した。それぞれの討議の詳細については、下記の通りである。

【分析結果の報告と討議】

 分析の結果、回答者(全国の25~54歳の11,008人)のうち、孤独感を高頻度で感じている(「常にある・しばしばある」と回答した)割合は1割程度であり、さらには心理的ストレスや鬱状態が非常に高いと回答した割合も1割程度となっていた。そして、孤独感を感じる頻度が高いほど心理的ストレスや鬱状態も高い傾向もみられ、先行調査でも指摘されてきた通り、孤独・孤立が健康や命に大きく関わっていることが分かった。

 さらに、孤独になりやすい回答者の特徴を分析すると、家族関係が良好ではない、家族以外の友人・知人関係があまりない、経済状況が厳しい、仕事に就いていない、非正規雇用で働いている等の特性がみられた。これらの特性の中で、とりわけ仕事の影響については、女性よりも男性で顕著にみられた。

 ちなみに、孤独・孤立への対策方法として、地域活動への参加や近所づきあいの充実などが重要であると指摘されることが多いが、今回の調査の回答者のうち、「近所づきあいは全くしていない」と答えた割合が29.2%、「あいさつ程度の最小限のつきあいしかしていない」と答えた割合が48.4%と、回答者の大半で近所づきあいの程度が低い様子がみられた。また、地域活動への参加についても、「町内会・自治会」に参加していると回答した割合は13.1%、「ボランティアのグループやNPO」に参加していると回答した割合は2.2%、「子ども会、PTA、子育てサークル」に参加していると回答した割合は7.8%、「消費生活協同組合」に参加していると回答した割合は1.6%といずれも低く、「どのようなグループや団体にも参加していない」と回答した割合が65.4%となっていた。

 なお、今回のアンケート調査の内容は多岐にわたっており、設問数も多いため、上記の結果はそのごく一部である。今後、さらに多様な観点から分析を進め、現役世代の孤立・孤独の実態と、その対応策について検証を進める予定である。

【総研レポート刊行に向けた討議】

 『総研レポート』刊行に向けたスケジュールとして、2024年1月中旬までに各委員が原稿を執筆する予定である。その後、2024年1月末~2月末に校正を実施し、2024年3月に刊行する見込みである。なお、『総研レポート』には調査票を収録するほか、単純集計結果も収録する方針で決定した。

 次回の研究会は、9月27日(水)10時30分~14時(場所は調整中、日本女子大学あるいは主婦会館プラザエフの予定)にて、対面で実施する。