研究活動

常設研究会 ― 社会参加とネットワークに関する研究会 第12回報告 ―

○ 開催日時
2023年9月27日(水)10:30~14:40
○ 開催会場
日本女子大学新泉山館
○ 参 加 者
4名(委員3名、事務局1名)

テーマ・概要

 第12回研究会では、2023年3月に実施した「人々のつながりの実態把握に関するアンケート調査」の結果をまとめて、2023年度中に『総研レポート』として刊行すべく、各委員が分析した結果を持ち寄り、その内容について検討した。また『総研レポート』の章立てについても検討した。それぞれの議論の詳細については、下記の通りである。

【分析結果の報告と検討】

 「人々のつながりの実態把握に関するアンケート調査」は、現役世代(本調査では25~54歳と設定した)を対象とした調査である。このデータを用いて『総研レポート』には、現役世代の家族関係の実態や、家族以外の人々とのつながりの実態、人づきあいに対する意識や考え方、サードプレイスの有無が人づきあいに与える影響、ICTの利用が人づきあいに与える影響、働き方が人づきあいに与える影響、などの様々なテーマについて分析した結果を収録する。

 分析の結果、多くの興味深い知見が得られた。例えば、人づきあいに対する意識や考え方について分析した結果、全体的な傾向として、人とのつながりに対する期待や希望が総じて薄く、対人関係に期待しない傾向が強いことが分かった。回答者の過半数が、人との付き合いが密接な社会よりも、寂しくても個人の自由を尊重してくれる社会が良いと感じており、さらには回答者の約半数が目的や利点がなければ人とつきあう必要はないと考えていた。そして、このような意識を持つ人ほど、人づきあいが少なく、生活満足度が低い傾向もみられた。

 他にも、家族関係や家族以外の人々とのつながりについて分析した結果、家族関係が良好な人ほど家族以外の人々とのつながりが広い傾向があることが分かった。また、新型コロナウイルスの影響もあってか、家族以外の人々との対面での交流が低調であることも分かり、回答者の約3割が一緒にでかけたり、食事をしたりするなどの個人的な付き合いをほぼしていないことも明らかになった。

 上記の分析結果は、アンケート調査全体から得られた結果の一部である。「人々のつながりの実態把握に関するアンケート調査」には、既存調査にはないオリジナルな設問も多く設計したため、新たな知見が多く得られている。次回の研究会に向けて、各委員がさらに分析を進めて『総研レポート』の原稿として執筆していく予定である。

【総研レポートの章立てについての検討】

 『総研レポート』には、本研究会を実施した背景や目的についてまとめた原稿を収録するほか、調査方法や調査対象などの調査概要をまとめた原稿も収録する。その上で、各委員が2~3つのテーマで分析を行い、2~3章ずつ原稿として執筆する。各章のボリュームは読みやすさを考えて少なめに設定し、全部で8~12章ほどの構成とする見込みである。

 次回の研究会は12月26日(火)14時30分~18時(場所は主婦会館プラザエフの予定)にて、対面で実施する予定。