研究活動

常設研究会 ― 社会参加とネットワークに関する研究会 第13回報告 ―

○ 開催日時
2023年12月26日(火)14:30~17:45
○ 開催会場
主婦会館プラザエフ5階会議室
○ 参 加 者
4名(委員3名、事務局1名)

テーマ・概要

 第13回研究会では、これまでの研究会に引き続き、2023年3月に実施した「人々のつながりの実態把握に関するアンケート調査」の結果をまとめて2023年度中に『生協総研レポート』として刊行すべく、各委員が分析した結果を持ち寄り、その内容について検討した。また『生協総研レポート』の章立てや書式についても検討した。議論の詳細については、下記の通りである。

【分析結果の報告と検討】

 これまでに引き続き「人々のつながりの実態把握に関するアンケート調査」を分析した結果、新たに、以下のような知見が得られた。

 かつては地域における様々な団体の活動への参加は、人とのつながりを醸成する基盤となるとみなされてきた。しかし、従来の地縁組織をもとにした関係は崩れ、「選択的関係」が主流化している中で、本調査においても、現役世代(本調査のでは25~54歳に限定、ランダムサンプリング)の3分の2はそれら地域の団体の活動に参加しておらず、各団体の参加率も低調であった(具体的には、町内会・自治会が13.1%、子ども会・PTA・子育てサークルが7.8%、ボランティアのグループやNPOが2.2%、趣味の会やグループが7.8%、仕事関係の会やグループが9.3%、消費生活協同組合が1.6%など)。一方で、これらの団体の活動への参加と孤立・孤独感との関連について分析した結果、参加することで孤独感が軽減されたり、生活満足度が高まったりする傾向があることも分かり、団体の活動への参加は現役世代の生活にポジティブな影響を与えることも明らかになった。

 しかしながら、既存研究において、現役世代においては居住地域や性別、年代等によって半ば強制的に所属が定められる組織に対して忌避感を持つ傾向があることが指摘されており、さらには本調査で「どのような人づきあいを望むのか」という志向性を尋ねた設問の分析から、現役世代の多数が目的や利点がなければ人とつきあう必要はないという功利主義的な意識を持っていることも明らかになった。これらの知見を併せて考えると、現役世代の参加率を一概に高めようとする策は忌避感を強めてしまう可能性があり、従来とは異なる形で、人とのつながりを醸成する方法を検討する必要性が示唆された。

 これらの分析結果については、2024年3月に『生協総研レポート』として刊行する予定である。