刊行物情報

生活協同組合研究 2019年10月号 Vol.525

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乳製品をめぐる最新事情

 いま、多くの生協での「コープ商品」といえば、今日では「日本生活協同組合連合会」の供給する多種多様なものが中心的存在である。しかし温度差はあるが、各地域の生協や地域の事業連合が独自に開発して供給されるものもあり、今なお、この有力な品目のひとつが牛乳のようである。なるほど、歴史的にみると安心で安価な牛乳の提供から始まった生協が多いことは知られるところである。
 とはいえ、身近なものにもかかわらず、牛乳や乳製品について包括的に扱ったことが絶えてないことに気づいた。それが今回の牛乳を中心とした乳製品を扱う特集に至った動機である。

 

 小林信一氏からは、日本での酪農が北海道に集中しつつあること、生産基盤の脆弱化、政策の課題、国外との貿易協定の影響などを包括的に提示していただいた。

 小田志保氏の論考では、日本の牛乳・乳製品の消費の変化と国際市場の動向、そして国内の生産基盤の維持の重要性と消費者への期待などを論じていただいている。

 上西一弘氏からは、カルシウムや各種栄養素の供給源としての牛乳・乳製品の有用性や学校給食の意義についてなど、健康に関して新しい知見をもとにお示しいただいた。

 一方で牛乳はアレルギーという負の要素を持つ面もある。伊藤節子氏には、牛乳アレルギーについて、症状、アレルゲン性、対応、治療の視点を解説していただいた。

 最後は、生協と牛乳のかかわりについて、変遷、議論、供給状況などを、雑ぱくながら鈴木が整理を試みている。

 本特集は、ここ数年の本誌では「水産物」(2015年4月)、「青果物」(2016年7月)、「食肉」(2017年8月)に続く食品ものである。何らかのヒントになれば幸いである。

(鈴木 岳)

主な執筆者:小林信一、小田志保、上西一弘、伊藤節子、鈴木岳

目次

巻頭言
大学生協連発足60周年(古田元夫)
特集 乳製品をめぐる最新事情
日本における乳製品の生産と供給の課題(小林信一)
牛乳・乳製品の国内消費の変化と最近の国際市場の動向(小田志保)
牛乳・乳製品と健康(上西一弘)
子どもと大人の牛乳アレルギーと対応について(伊藤節子)
生協と牛乳のかかわりの変遷と現在(鈴木 岳)
連載 フォーカス くらしと社会の最新事情⑦
NPT再検討会議と核兵器廃絶をめぐる最新動向(堀内聡子)
連載 協同組合系研究所の逐次刊行物より⑦
『信金中金月報』(久保ゆりえ)
継承・発信 平和の取り組み③
千葉県生協連70周年記念事業「子どもたちに平和な未来を2019」を開催しました(小田川和恵)
研究と調査
大学生の自然災害に対する危機認識と対応行動の現状(水木千春・朴恵淑)
本誌特集を読んで(2019・8)
(白井和宏・毎田伸一)
研究所日誌
アジア生協協力基金2020年度・助成金一般公募のご案内
2019年度生協総研賞 第12回「表彰事業」受賞作
総目次