購買行動研究会
 

2006年10月〜2007年7月 事務局 河原 英夫

◆目的

 消費者の購買行動(店を選ぶ、買物に出かける、商品を選ぶなど)においては、次のような要因が影響を及ぼす。

  • 商品的要因(ブランド、品質、おいしさ、鮮度、広告、パッケージ、ディスプレイ、店員など)
  • 個人的要因(職業、学歴、収入、年齢、性別、ライフスタイル、こだわり)
  • 社会的要因(見栄、流行、口コミ)

 これらの要因の強弱は商品カテゴリーによって異なり、時代とともに変化するので、的確に対応することが重要である。本研究会では、消費者の購買行動について分析し、特に行動に影響を及ぼす要因を体系的に整理し、要因相互の関係や商品カテゴリーごとの特徴を明らかにすることを目的とする。

◆研究会のアプローチ・方法

 マーケティング理論を中心に、社会心理学、行動心理学を取り入れる。方法は次の通り。

  • 委員相互の報告
  • メーカー,小売業担当者などを招いての報告
  • 2006年度全国生協組合員意識調査報告書(11月発刊予定)など生協総研が携わった調査結果の分析
  • 各種消費者調査結果(日経産業消費研究所など)の分析

◆研究会のアウトプット

  • 生協総研レポートで報告(問題提起)を行なう(委員分担執筆)。
  • 公開研究会を開催する。

◆研究会の性格

  • 日本生協連・生協総研の諮問に対して答申や方針を提起するのではなく、生協の事業政策をつくるうえで参考となる情報を提供することが目的である。
  • 研究者・学識経験者には生協の現状を理解していただき、生協役職員には情勢や理論的な考え方を理解する場として位置づける。


新津重幸(高千穂大学大学院教授=マーケティング論)
佐野美智子(高千穂大学商学部教授)
黒河内剛(マーケティング総合研究所主席研究員、元(株)西友Business System Planning担当)
佐々木満(日本コンサルタントグループ食品サービス研究所)
内田一樹(コープネット事業連合商品事業企画担当)
田村孝裕(日本生協連くらしと商品研究室)
大同久人(日本生協連マーケティンググル―プマネージャー)
太田和宏(日本生協連マーケティンググル―プ)
事務局:河原英夫(生協総研)

・購買行動研究会報告書「消費者の購買行動の変化と小売業の進化」(200709)

2007年度第17回全国研究集会
「消費者の購買行動の変化と小売業の進化―マーケティングから見た生協の課題を明らかにする―」(200710)

生活協同組合研究No.384
「消費者の購買行動の変化と小売業の進化―マーケティングから見た生協の課題を明らかにする―」(200801)









第1回
2006/10/10
(1)新津座長報告
(研究誌10月号「消費者が買物に求めるものと小売業の役割」をもとに)
(2)黒河内委員報告 「流通業界の多様化」
第2回
2006/11/14
・事務局報告「2006年度全国生協組合員意識調査報告書について」
 各委員からの意見交換

・黒河内委員報告「食品の宅配業態」

第3回
2006/12/22
・佐野美智子(高千穂大学商学部教授)「消費意欲を規定する要因」
 
日経産業消費研究所が1980年から継続的に実施する「消費者の意識と行動調査」のデータをもとに報告した。
 
消費意欲(心理要因)に対する直接効果が最も大きいのは家計評価(暮らし向きの見通しや満足度、収入の増減)である。景気評価(社会の景気、勤務先の経営状況)は、家計評価を介した間接効果が大きい。いずれも90年代半ば以降、その相関が強まっている。物価評価(物価の見通し)の効果はほとんどない。消費活性度を左右する要因を消費意欲と消費能力に分けると、後者の影響の方が大きいが、特に若年層では顕著である。
 
また90年代後半以降、全般に景気評価・家計評価が低下しているが(悲観的になっている)、若年層は微増傾向にある。
第4回
2007/1/22
・黒河内剛委員(マーケティング総合研究所主席研究員)
 
百貨店・スーパー・コンビニ業界の動向について報告した。
 
デパ地下の売上は1999年をピークに減少傾向が続いている。駅ビル・駅ナカとの競合も要因の一つで、デパ地下店舗をセットにして駅ビル・駅ナカに進出する動きがある。
 
食品スーパーでは、ヤオコーが14年連続増収増益を達成したが、惣菜部門の強化が成長の原動力と評価されている。生鮮3品を軸にした従来型の売場は時代の潮流から遅れ始めている。
 
コンビニエンスストアでは、惣菜・弁当の食材や味付けを地域ごとに細かく分ける動きが広まっている。また高カロリーというイメージに対抗するため、低カロリー化を重視している。
第5回
2007/2/20
・佐々木満委員(日本コンサルタントグループ食品サービス研究所)
 
購買行動についての報告
 
購買時点での選択行動における3つの要素「商品選択」「ブランド選択」「購入数量の決定」は、POSシステム、カードシステム、インターネットの進展により、購買動向が個人単位で簡単に把握できるようになった。「店舗選択」には、店舗だけでなく隣接する商業施設の魅力やアクセスのよさが影響を及ぼす。
 
商品を購入するまでに、商品や広告に注目し⇒関心・興味を持ち⇒欲求・欲望を感じ⇒商品を記憶し⇒購入する、という過程を経る。店内では、情報の90%近くを視覚によって入手しているので、陳列やPOPの果たす役割が大きい。
第6回
2007/3/27
内田一樹委員(コープネット事業連合マーケティング推進室)
 
事業連合の無店舗事業の状況と購買動向について
 
多くの人が加入しても、その何割かが脱退するので純増は少ない。特に加入直後は、つなぎとめる工夫が必要である。
 
組合員数も利用高も、班配より個配の比率が増えつつある。
 
利用点数が多い組合員は、とりわけ野菜の買上げ点数が多い。また利用点数の少ない組合員は、生鮮、卵・牛乳、加工肉の利用が少ない、という特徴が見られる。
 
現在の提供単位について、利用者はある程度満足しているが、不満に思う人は利用していないとも考えられるので、少容量と大容量の複数配置を考える必要がある。
第7回
2007/4/11
◆日本生協連くらしと商品研究室・田村孝裕さんの報告

日本生協連組合員インターネットモニター調査による「コープ商品と聞いて思い浮かぶ商品」と外部調査機関に委託して実施した「購入した世帯比率が高いコープ商品」の2つの調査を組み合わせて紹介した。両調査とも上位に挙がったのは、牛乳、豆腐、パン、ヨーグルト、ドレッシング、納豆、マヨネーズなどの商品である。

◆日本生協連マーケティンググループ・大同久人さんの報告

外部調査機関のデータをもとに分析した「食マップに見る過程の食卓調査」が報告された。

朝食や弁当の内容は年代ごとの特徴が出ている。また使用比率の高い冷凍食品として、クリームコロッケ、茹で枝豆、白身魚のフライ、フライドポテト、春巻きが挙がった。
第8回
2007/5/23
明治乳業株式会社リテールマーケティング部課長の中島聡氏が「シニア層増大に対応した戦略の方向」について以下のように報告した。

世帯主が65歳以上の高齢者世帯の消費支出(1人あたり)は、他の世帯よりも多い。食品に関しても健康志向や品質志向が強く、当社の例では「明治プロビオヨーグルトLG21」「明治ヨーグルトうつくしいあした」などの差別化製品が支持されている。一方では食べ慣れたブランドにこだわる人が多く、情報量を増やさないと新しいブランドに切替えてもらえない。世帯人数の減少も加わって、提供単位は小さくなっていて、牛乳も200mlでも多いと感じる人が増えるかもしれない。
第9回
2007/6/13
おたふくソース株式会社(本社・広島市)の佐々木茂喜社長に「家族の食卓応援への取り組み」と題して報告していただいた。

同社は、お好み焼き用や焼きそば用など専用タイプのソースに特化し、家庭用だけでなく業務用も拡大し、日本でも有数のソースメーカーに成長した。特にお好み焼きの普及に力を入れて、消費者向けの料理講習会や外食店経営者向けの研修会、小売店での試食販売、専用車を使った老人・児童福祉施設の巡回訪問に力を入れている。

顧客の意見を商品づくりに反映するため、社内で情報を共有化する仕組みを構築し、社長みずからコメントしたり、組織のフラット化を図るなどの工夫をしている。
第10回
2007/07/11
委員が分担執筆する研究会報告書の内容について検討した。テーマの一つは、消費者の購買行動がどのように変化しどのような特徴がみられるのか、ということで、高齢者の増加や家族人数の減少、健康志向・簡便化志向などがキーワードになる。

もう一つのテーマは、その変化に対して小売業はどう変わるのかということで、消費者が抱えている問題を解決するという視点や店舗は買い物するだけでなく時間を消費する場所であるという視点から役割を考える必要がある。

研究会はこれで終了し、報告書の内容をもとに全国研究集会(9月29日)で発表する。

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