刊行物

生活協同組合研究 2026年11月号 Vol.610

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生協共済の現在地

 公益財団法人生協総合研究所では研究活動の一環として生協共済研究会を設置している。2006年度に活動を開始しており、2026年度には第21期を迎えている。研究会への参加状況には違いがあるものの、商学系の研究者を中心に16名がメンバーとして名を連ねている。このたび、『生活協同組合研究』2026年11月号では生協共済研究会に参加する研究者に加え、事務局団体であるコープ共済連とこくみん共済coopから「生協共済の現在地」をテーマとする論稿をご執筆いただいた。

 岡田稿では、保険と共済は保険技術や事業モデルを共有する一方、保険会社で募集不祥事が相次いでいることを踏まえ、生協共済では組合員・生協・連合会による助け合いの価値共創と信頼の蓄積が、不祥事の抑止に寄与しているのではないかと論じている。

 大塚稿では、共済開発の視点から、生協共済の特長である「均一掛金率」を少子高齢化が進むなかでも持続可能なものとするため、若年層の加入を促す商品開発に取り組んでいることなどを論じている。

 恩藏稿では、生協共済の社会貢献活動について生命保険会社と比較しつつ、その独自性は会員生協・組合員・NPOなどの地域団体との既存の関係を活かした取り組みを実施し、成果につなげている点にあると指摘している。

 宮地稿では、CO・OP共済が一人ひとりの組合員の声を真摯に受け止め、商品・制度・手続きを継続的に改善するとともに、その効果を確かめながら、公平で安心できる共済を育ててきたと評価している。そのうえで、「『組合員の声』は、商品や制度、業務の課題を把握し、改善につなげるための情報でもある。CO・OP共済の事例は、顧客対応を通じて得られた利用者の声を、継続的な業務改善に活かしていくことの意義を示している」とまとめている。

 根本稿では、生活設計の実践を普及していくためには、金融や生活設計に対する考え方や価値観を育み、心理的な負担を和らげることが大切であるが、CO・OP共済の学び合いには、それを後押しする役割が期待できるとしている。

 黒田稿では、こくみん共済coopの自然災害保障について、全国一律掛金によるたすけあいに意義があるとしたうえで、今後は空き家の増加に対応し、リスク管理と契約者に分かりやすい引受基準を両立させ、制度の持続可能性を高める必要があると論じている。

 佐々木稿では、生協共済の将来展望をテーマに、人口減少や災害激甚化、AI普及などの環境変化に対応しつつ、人と人とのつながりを基盤に、共創や若年層への働きかけを進め、暮らしを守り社会課題の解決に貢献することが共済生協の使命であるとまとめている。

 甲斐稿では、CO・OP共済は、相互扶助を基盤として、保障商品の提供にとどまらず、防災・健康づくり・地域福祉の助成を推進し、生協組合員や地域に寄り添いながら、持続可能で誰一人取り残さない地域社会づくりへの貢献を目指す、とまとめている。

 生活協同組合で共済事業に携わる職員の皆様が本誌を手に取られた際に、今後の実践や検討の参考となる知見を見いだしていただければ幸いである。

(西尾 由)

主な執筆者:岡田 太、大塚忠義、恩藏三穂、宮地朋果、根本篤司、黒田佳祐、佐々木祐介、甲斐亜樹

目次

●巻頭言
AI時代に問われる共済の価値──「できること」と「してよいこと」の間で──(中林真理子)
●特集 生協共済の現在地
生協共済の現在地──保険募集・共済推進の視点から──(岡田 太)
生協共済の現在地──共済開発の視点から──(大塚忠義)
生協共済の社会貢献活動の展開と課題──生命保険会社との比較から──(恩藏三穂)
「組合員の声」から考えるCO・OP共済の顧客対応と業務改善(宮地朋果)
生活設計の意思決定構造とCO・OP共済のライフプランニング活動(根本篤司)
こくみん共済coopの自然災害保障の意義と課題(黒田佳祐)
共済生協の将来展望について(佐々木祐介)
共済からレジリエンスへ──災害多発社会におけるCO・OP共済の役割と将来展望(甲斐亜樹)
●本誌特集を読んで(2026・9)
(山本邦雄・阿南 久)
●図書紹介
大槻奈巳・岩上真珠編『大学生のためのキャリアデザイン入門〔改訂版〕』(中村由香)
●研究所日誌
●公開研究会(来場・オンライン併用)「未来へつなげる生協の歴史」(12/10)
●第35回全国研究集会(2026年11月12日)のご案内
●2026年度生協総研賞・第24回助成事業対象者決定のお知らせ