生協社会論

2025年度第9回講義概要「多角的な視点から平和を考える」

○開催日時 2025年6月11日(水)16:45~18:15

○開催会場 大東文化大学 板橋キャンパス

講師とテーマ

三谷和央氏(日本生活協同組合連合会 組織推進本部 社会・地域活動推進部 組合員活動グループ GM)
片田靖子氏
「多角的な視点から平和を考える」

概要

講師の片田さん
講師の片田さん

講師の三谷さん
講師の三谷さん

講師の片田さん
講師の片田さん

 第9回講義の講師は日本生協連の三谷さんと被爆者の片田靖子さんでした。

 三谷さんからは「日本の生協における平和活動の歴史」「近年の世界情勢」「核兵器から平和を考える」「現在の生協の平和活動と被爆・戦後80年の取り組み」等について、解説いただきました。

 片田さんからは、5歳の時の広島での入市被爆の体験について、わかりやすく語っていただきました。

受講した学生のレポートより

Aさん
片田さんの証言を通して、戦争や原爆の被害が単なる数字ではなく、人生として存在することを実感しました。書籍や映像ではなく実際に話を聴くことでしか得られないリアルな想いが感じられ、貴重な学びでした。今回のように証言を聴く、原爆ドームに訪問するなど体験に基づく学びを続け、若い世代が自分の言葉で平和を語れるようにすることが大切だと思います。「平和」が戦争のない状態であるだけでなく「安心して暮らせる日常」であり、それがこれまでの多くの犠牲の上で成り立っていることを改めて実感しました。生協が「平和」に関わってきたことを知り、印象が変わりました。

Bさん
初めて被爆者の方から直接お話を聞く経験となり、改めて核の恐ろしさを実感しました。片田さんのお話の中で特に、自分の孫が鼻血をよく出すと聞いたときに、自分のせいだと非常に申し訳なく思ったというお話が印象に残っています。被爆者の方々はその影響がどのように姿を現すかが分からず、不安と共に一生を生きなければならない。被爆者の方々の具体的な苦しみの一部をリアルに感じました。原爆が投下された瞬間に命を落とした多くの方々だけでなく、健康に生活できるはずだった日々を奪われた上に、差別も受けるという苦しみと共に生きてきた多くの方々がいること改めて知りました。戦争のない世界を作るために自分には何ができるのだろうかと日々考えています。すぐに答えが見つかるものではないとは思いますが、今回のお話を聞いて改めて、経済や権力ではなく「人の命」を最も大切にする世の中を目指し、自分自身も大切なことから目を背けないようにしようと思いました。昨年、沖縄の伊江島の平和資料館を訪れた際に、長年非暴力で土地闘争を行ってこられた阿波根昌鴻さんが、「平和のためにはなぜ戦争が起きたのかをしっかりと理解しなければならない」「平和の武器は学習である」「原爆を落とした国より落とさせた国の罪は重い」と言っておられたことを思い起こしました。この悲惨な戦争を生き抜かれてきた方々の言葉を必ず次の世代に繋いでいかなければならない、戦争の加害者でもある日本の歴史も含めてこの戦争を認識し、世界と連帯しつつ平和を守り抜かなければならないと思いました。事業活動と平和活動(運動)をつなげることができるところが、企業と違って生協の良い部分だと思いました。

Cさん
今まで「戦争・原爆=昔のこと」と他人事のように捉えていましたが、実際に「戦争は地獄」を体験した方の話を聴いて、「戦争・原爆=しっかり考えなくてはいけないもの」に変わりました。今日聴いたことや感じたこと無駄にすることなく、同世代や次の世代にしっかり伝えて、今後戦争が起こらないようにしていかなければならないと思いました。

Dさん
被爆者は被害者であるのに学校などの場で「差別」を受けたことがあること、つらい想いをしたにも関わらず私たち若い世代に話を聴いてくれるのが嬉しいと言われたことに驚かされました。直接お話を聴くことで表情や感情が伝わり心に響きました。本を読んで学んだ気になるのではなく、更に証言を聴いて終わるのではなく、そこから何を学び社会にどのように継承するのかが大切だと思いました。